【考察】マルティネッリが活躍できなくなったのは何故か?進化したアーセナルの「歪み」を読み解く

Arsenal

⚠️ 本記事を読む前の注意点⚠️

データに基づいた分析を行っていますが、一部「感情」や「願望」が混じった考察が含まれています。私自身がグーナーであるため、ご容赦ください。

分析と一ファンとしての熱量の両方を楽しんでいただければ幸いです!

サカと共に台頭してきた左WGマルティネッリ

アーセナルの左サイドを切り裂く快足ウインガー、ガブリエウ・マルティネッリ。 かつてのシーズンでは二桁得点を記録し、相手ディフェンスの脅威となっていた彼ですが、昨今のシーズンではどこか苦戦している印象が拭えません。

「キレがなくなった?」「対策されただけ?」 この記事では、スタッツの比較と戦術的な変化から、彼が直面している課題の正体を深掘りします。

この記事を読んでわかること

  • 活躍していたシーズンと今シーズンの具体的なスタッツの差
  • マルティネッリを取り巻く「周囲の環境」の変化
  • 復活のために必要なラストピースとは

スタッツ比較:数字に表れる「孤立」

まずは、キャリアハイを記録した22-23シーズンと今シーズンのスタッツを比較してみましょう。

出場時間があまりにも違うので90分に均したデータにしました(プレミアのみ)。22-23シーズンはキャリアハイの15ゴール、①シュート関連、②保持関連に分けて触れていきます。

ゴール期待値とゴール数
期待値自体は今シーズンの方が高いです。しかし、ゴール数が圧倒的に少なくかなり下振れていると言えます。逆に22-23は若干上振れていますね。

シュート数
ここに関しては著明に低下していることがわかります。半分以下まで落ち込んでいます。

相手ボックス内でのタッチ
この数値が低下していることがわかります。実際に見ている印象としても、ここ最近はサイドに張り付いて単騎で縦突破を狙う印象があります。

まとめると

  • ボックス内で触る回数が減少し、シュート試行回数も減少している
  • サイドで持つ姿をよく見る

では次にヒートマップも確認してみましょう。

こちらも出場時間に差があるためデータ量が違いますが、キャリアハイを記録した22-23の方が明らかにハーフスペースやニアスペースなどの大外よりも1列内側でのプレーが多いことが見て取れます。

かつてはゴールに近い位置でのボールタッチ・シュートチャンスが多かったのに対し、今シーズンはサイドが主戦場となっておりゴールから離れた位置での仕事が多いです。

戦術・システムボールの保持位置敵チームの守り方に変化がありました。戦術は選手の入れ替わりに伴い大きく変化しています。右サイドのサカ・ウーデゴール・ホワイトは健在ですが、左サイドに関しては大きく変わっています。

そのため、まずは移籍に触れます。22-23はマンチェスターシティーからジンチェンコ、ジェズスが移籍してきました。それを踏まえたうえで戦術・システムに触れていきます。

このシーズンはジンチェンコが偽SBとして内側に入りトーマス・パーティーの周囲でビルドアップに大きく関与していました。

そしてジャカはハーフスペースやポケットへのラン、時にはサイドライン際、時にはジンチェンコの空けたSBの位置と状況次第でアクションを変えながらビルドアップからファイナルサードでの崩しに関与していました。

ジェズスはCFではありますが、フォルス9のようにビルドに関与したりサイドに流れてボールを引き出したり、WGのように振舞ったりと様々な役割をこなせました。特にサイドへ流れる際は左が多く、ここでマルティネッリと入れ替わることでマルティネッリがより中で仕事をする時間を増やす一助になっていました。

つまり偽SBとしてのジンチェンコ、使う側にも使われる側にもなれるジャカのクリエイティブ要素、ジェズスとの連携がマルティネッリを孤立させずにポテンシャルを引き出していたと言えるでしょう。

ここからはマルティネッリを取り巻く環境がどう変わったのかデータを示しながら述べていきます。

移籍

22-23

IN  ジェズス(シティーから)
    ジンチェンコ(シティーから)

23-24

OUT ジャカ(レヴァークーゼンへ)
IN  ライス(ウェストハムから)

出場機会

22-23をピークにジンチェンコの出場機会が徐々に減少

それに伴い、左SBの偽SBによるビルドが絶対的ではなくなる


→怪我による組み合わせの不安定さや選手の特徴的にジンチェンコの代わりになれるほどではないことによる

ジャカが退団しそのポジションにはライスが加入しました。また、怪我なども絡みジンチェンコが徐々に出場機会を失っていきます。そこで戦術・システムが少しずつ変わっていいくことになります。

ヒートマップも確認してみました。

シーズンで比較すると一目瞭然でした。


SB比較
22-23は偽SBでかなり内側での仕事をこなしていますが、25-26はそれよりクラシカルなSBに近い仕事をしています。


IH比較
ジャカはよりIHっぽい位置取りでハーフスペースを主戦場にハーフラインより前方で多くマッピングされていますが、ライスはどちらかというとボランチのような役割で左だけでなく右にも顔を出しピッチ全体に広く動き回っていることがわかります。今シーズンは新加入のスビメンディとスペースを共有・入れ替えながらビルドしていることによる違いが出ています。

やはりマルティネッリの周囲の環境の変化、システムの変化といったところはかなり影響しているのではないでしょうか。

アーセナルは連携やシステム練度が高まり、プレス回避が世界でもトップクラスとなりました。その影響でしっかりビルドし押し込む展開が増えたと思います。その影響もあってか相手は引いて守ることが増え、攻めあぐねるようになりました。

加えて最近はマンツーマンディフェンスでしっかりと捕まえに来る上に、それによりディレイできた場合は全員がしっかり戻りスペースを消すディフェンスを行うチームがほとんどとなっています。というより主流でありトレンドとなっており、遅攻だとスペースがない展開が非常に多くなっています。

ここでマルティネッリの特徴に触れましょう。

彼はドリブル時にヘッドアップすることが苦手です。そのため自陣からのカウンターなど広大なスペースの中での仕事は得意ですが、狭いスペースの中で仕事をするのは苦手です。サカとの対比をするとサカは緩急やフェイント、背負って反転などで抜くことに長けていますが、マルティネッリは良くも悪くも直線的です。最大加速で置き去りにするが、そのスピードをコントロールができているとは言えず、抜ききれないとその後の選択肢が少なく単調となってしまう上に対策されやすいです。

これはマドゥエケにも言えることですが、タイプの違いで使い分けられるのはいいことですかね…

ここでサカと差がついた印象があります。サカはダブルチームでもロストせず、抜き去って見せたりシュートまで持ち込んだり決定的なパスを出したりと脅威になることができましたが、マルティネッリはダブルチームでのロストが多くそこで違いを見せることはできなかった印象があります。

そして先ほどデータで示した通り、システム的に孤立しているため単騎での仕掛け、打開を求められるシーンが多くなったことやディフェンスのトレンド、押し込む展開が増えたことなど複数の環境の変化によってかつての輝きを失った、と考えています。

ジャカの部分でも触れましたが、ジャカは周りを使うことができる選手です。ジンチェンコもジェズスもそうです。しかし、マルティネッリは明らかに使われる側の選手であり、彼を巻き込んで攻撃することができる選手が必要だと考えます。


今後の展望・まとめ

最近のアーセナルは押し込んだ後のアクションが乏しいと感じています。多くの選手が足を止めて、ポジションにつき足元へボールを要求します。ボールの動きやテンポはゆっくりでショートパスメイン、裏へのランニングやスルーパスは皆無と言っていいでしょう。

これをできる選手はウーデゴールやメリーノがいました。しかし、メリーノはシーズン絶望の怪我で不在、ウーデゴールも度重なる怪我で不在にすることも多く怪我を恐れるあまりかライン間で受ける場面が減少し、降りてきて保持を安定させる歯車となってしまっています。

マルティネッリの不調は彼個人の問題だけではなく、アーセナルという組織がより「完成度」を高めようとする過程で生じた、左サイドのバランスの歪みだと言えます。これをアルテタが修正することが先か、選手が去ってしまうのが先か…どうなるか見てみましょう。

マルティネッリは停滞するアーセナルを打開できる特徴やポテンシャルを持っていると思います。彼のサイドからのカットインしながらの裏抜けやアクションは環境を作れば輝くことは証明済みです。マルティネッリの【使われる側】の真骨頂を取り戻し、かつての輝きを再び見たいです。

I believe in Gabi.

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